2009年 10月 03日
狡猾というか悪辣というか |
この数年、大学の近辺には学生向けのアパートが新しく建てられているが、そこには必ずと言っていいほど最初から飲料などの自動販売機が設置されている。てっきり学生たちがそういう自販機を利用することを見込んで設置されているのだと思っていたが、ほんとうのの狙いはこういうことだったのか。
賃貸住宅のオーナーに多額の消費税が不適切に還付されているとして、会計検査院は財務省に対し改善を求める。法の盲点をついたやり方だろうが、これを「節税」と呼ぶべきなのか。違法として処罰の対象にはならないが、限りなく違法に近い行為ではなかろうか。それにしても、金を持っている人たちはどうにかして儲け口を見つけるものだ。
賃貸住宅を巡っては、清涼飲料水の自動販売機を1台設置するだけで、建物全体の建築費にかかる税が全額還付される“節税対策”が常態化。還付額は全国で年約90億円に上るとみられる。検査院は消費税法に抜け道があり、現状のままでは税の公正が保てないと指摘。11月に鳩山首相に提出する決算検査報告書に盛り込む。
消費税は最終消費者が負担するのが原則。このため消費税法30条には、売り上げの95%以上が課税対象であれば、それまでの仕入れなどにかかった税は還付する、との規定がある。
賃貸住宅の場合、「売り上げ」は本来入居者が支払う家賃だが、家賃は非課税のため、売り上げに占める課税対象は0%となり、消費税還付は受けられない。
そこで、消費税を還付させる方法として不動産業界に広がったのが、自販機を利用し形式的に課税対象の売り上げを作り出す方法。飲料水の売り上げは課税対象のため、まだ家賃収入がない段階で税務署に自販機の売り上げを申告し、課税対象が95%以上だと見せかける。例えば、全体の建築費が税込み2億1000万円のマンションなら、こうした方法をとるだけで消費税分1000万円が戻される。
検査院が2006年度の還付分について、全国約520か所の税務署中、40か所以上を抽出調査したところ、約120件、8億円の自販機を使った還付が見つかった。全税務署では90億円を超えると推定される。
住宅家賃が法改正により非課税となったのは1991年からで、その後、こうした“自販機節税法”が全国に広がった。06年の政府税調で問題になり、法改正などが検討されたが、その年の答申には盛り込まれなかった。
検査院は、脱法行為に近い状況が長年の間、放置されてきたとしている。財務省では「税還付について問題意識は持っているが、現時点でコメントすることは出来ない」としている。(読売新聞10月3日14時54分)
by himitosh
| 2009-10-03 17:56
| 社会