2006年 02月 17日
『凶犯』 |
張平『凶犯』(新風舎文庫)読了。中国の現代小説を読むことは滅多にないが、なかなか面白かった。張平は社会派の人気作家だそうだが、それもうなずけるほど娯楽小説としてよくできている。根底にあるのは中国社会の矛盾なのだが、それをストーリーのなかに無理なく溶け込ませている。主人公は中国山西省の山岳地帯で森林保護員をつとめる元兵士である。片足が不自由だが、不屈の信念の持ち主。村ぐるみの材木の盗伐を阻止したことから恨まれ、袋叩きにあう。このあたりの中国社会の絶望的な後進性を描き出しているところが読ませる。
最後は追い詰められた主人公が捨て身の反撃に出るわけだが、そこで得られるものは単純なカタルシスではなく、苦い現実認識である。
こういう小説が書かれて広く読まれているのであれば、中国もそう捨てたものではないように思う。




