2006年 05月 23日
喫煙者の自尊心 |
昼休みに生協の書籍部に行き、その帰りに生協食堂の西側出口の前のベンチでタバコを吸っている三人組の男子学生を発見、注意を与える。三人のうち二人は弁当を食べ終えてタバコに火をつけたところで、もう一人はまだ弁当を抱えていた。
「きみたち、悪いがここは喫煙禁止だ。タバコを吸うならあそこ(といって人文学部北側の喫煙所を指さして)で吸ってくれ。あそこなら灰皿もあるしベンチもあるから、落ち着いて吸える。」
「はあ、わかりました」と学生たちは素直に喫煙所へ向かった。一人は弁当を持ったまま歩いていった。まわりにはたくさん学生たちがいた。弁当と鞄を抱えて、火のついたタバコを持って歩いていく姿は正直言って「格好悪い」としかいいようがないが、しかたがない。
タバコを吸っていると、こういうみっともない場面を演じてしまうことになる。
話は変わるが、『禁煙セラピー』という「読むだけでタバコがやめられる」というふれ込みの本がある。アレン・カーというイギリス人が書いたもので、この人は本だけでなく禁煙セラピーをビジネスとして展開している。そのやり方を日本に導入して禁煙ビジネスを展開している「アレン・カー東京」という組織(というより企業)がある。そこが作っているサイトの今日のエントリーに次のようなものがあった。「お客様データ」として、どのような喫煙者が顧客として多いかという紹介である。
それによると、お金を払ってまでタバコをやめたい喫煙者とは「1日1箱ぐらい吸う、喫煙歴10~20年の、30代の喫煙者」が多いという。30代というとまだまだ体力もあって、自分の健康に不安がある人は少ないはずだ。ところが、いろいろ病気が出てきて先々の不安が漂い始める40代や50代よりももっと若い世代がタバコをやめようとしているという。
事実このセラピーでは顧客のカウンセリングもするわけだが、健康被害が出ている30代の人は少ないそうだ。では、なぜ彼らはタバコをやめようというのか?
ずばり、それは「自信、自尊心」なのだそうだ。タバコを吸っていると、どこか自分に自信が持てない・・・、そういう場面が増えてきたのだそうだ。
たしかにわたしが今日注意した学生たちはとても恥ずかしそうだった。また、タバコを吸いたいけれども吸えないような場所やシチュエーションはこれからも増える一方だろう。
今年の2月に行われた無作為に選んだ日本の企業5000社に対する調査では、禁煙や分煙など喫煙対策に取り組んでいる企業は前年度より5.4ポイント増え88.2%。このうち全館禁煙は20.7%で、屋外排気型の喫煙室や喫煙コーナーを設置している企業は28.9%に上ったという。もう企業の半分では、職場で自由にタバコが吸えない時代になっているのだ。
仕事の際にタバコが吸えなくてイライラ、じりじりしている状態を、まともな社会人であれば肯定的にはとらえられないだろう。自分の仕事にそれなりに誇りを持って取り組んでいる人にとっては、タバコが原因で十分な能力が発揮できない状態に自尊心を傷つけられることもあるだろう。社会の動向に敏感な30代の人々がタバコ離れを始めていることの意味は重い。
大学の喫煙所も大勢の人から見える場所(そしてかなりの距離がある場所)に設けることで、一種のさらし者にされるため、喫煙者たちの自尊心を傷つけているのではないかと想像する。生協の周辺でタバコを吸う者を見かけたら、立ち小便をしようとする者に公衆便所の位置を教えるように、「あそこで吸ってきてね」と喫煙所を教えるようにしてもらいたい。
「きみたち、悪いがここは喫煙禁止だ。タバコを吸うならあそこ(といって人文学部北側の喫煙所を指さして)で吸ってくれ。あそこなら灰皿もあるしベンチもあるから、落ち着いて吸える。」
「はあ、わかりました」と学生たちは素直に喫煙所へ向かった。一人は弁当を持ったまま歩いていった。まわりにはたくさん学生たちがいた。弁当と鞄を抱えて、火のついたタバコを持って歩いていく姿は正直言って「格好悪い」としかいいようがないが、しかたがない。
タバコを吸っていると、こういうみっともない場面を演じてしまうことになる。
話は変わるが、『禁煙セラピー』という「読むだけでタバコがやめられる」というふれ込みの本がある。アレン・カーというイギリス人が書いたもので、この人は本だけでなく禁煙セラピーをビジネスとして展開している。そのやり方を日本に導入して禁煙ビジネスを展開している「アレン・カー東京」という組織(というより企業)がある。そこが作っているサイトの今日のエントリーに次のようなものがあった。「お客様データ」として、どのような喫煙者が顧客として多いかという紹介である。
それによると、お金を払ってまでタバコをやめたい喫煙者とは「1日1箱ぐらい吸う、喫煙歴10~20年の、30代の喫煙者」が多いという。30代というとまだまだ体力もあって、自分の健康に不安がある人は少ないはずだ。ところが、いろいろ病気が出てきて先々の不安が漂い始める40代や50代よりももっと若い世代がタバコをやめようとしているという。
事実このセラピーでは顧客のカウンセリングもするわけだが、健康被害が出ている30代の人は少ないそうだ。では、なぜ彼らはタバコをやめようというのか?
ずばり、それは「自信、自尊心」なのだそうだ。タバコを吸っていると、どこか自分に自信が持てない・・・、そういう場面が増えてきたのだそうだ。
たしかにわたしが今日注意した学生たちはとても恥ずかしそうだった。また、タバコを吸いたいけれども吸えないような場所やシチュエーションはこれからも増える一方だろう。
今年の2月に行われた無作為に選んだ日本の企業5000社に対する調査では、禁煙や分煙など喫煙対策に取り組んでいる企業は前年度より5.4ポイント増え88.2%。このうち全館禁煙は20.7%で、屋外排気型の喫煙室や喫煙コーナーを設置している企業は28.9%に上ったという。もう企業の半分では、職場で自由にタバコが吸えない時代になっているのだ。
仕事の際にタバコが吸えなくてイライラ、じりじりしている状態を、まともな社会人であれば肯定的にはとらえられないだろう。自分の仕事にそれなりに誇りを持って取り組んでいる人にとっては、タバコが原因で十分な能力が発揮できない状態に自尊心を傷つけられることもあるだろう。社会の動向に敏感な30代の人々がタバコ離れを始めていることの意味は重い。
大学の喫煙所も大勢の人から見える場所(そしてかなりの距離がある場所)に設けることで、一種のさらし者にされるため、喫煙者たちの自尊心を傷つけているのではないかと想像する。生協の周辺でタバコを吸う者を見かけたら、立ち小便をしようとする者に公衆便所の位置を教えるように、「あそこで吸ってきてね」と喫煙所を教えるようにしてもらいたい。
by himitosh
| 2006-05-23 21:53
| タバコ