2006年 05月 25日
「ヴェラ・ドレイク」 |
家人が借りてきたDVD「ヴェラ・ドレイク」(マイク・リー監督)を見る。感動という言い方とはちょっと違うように思うが、見終わったあとに重いものが胸に残る映画である。
第二次大戦直後のイギリスが舞台で、あちこちにまだ戦争の余韻が残る。ひっそり身を寄せ合って生きている貧しい人々が中心的に描かれている。家族だけでなくどんな人にも温かく接する主人公が経験する悲惨な出来事がストーリーの軸になる。
見る者からすれば、彼女の生き方や考え方から彼女がとった行動がすんなりと理解できる。しかし、それは国家や社会の規範に背くものであり、結果的に彼女を惨めな境遇に落としてしまう。
こうなって、ああなって、ああなる、ということは観客にはすぐにわかるわけだが、そのとおりに映画は進行する。ただ、それがまったく破綻なく、過不足なく演じられ映像化されている。主人公ヴェラを演じるイメルダ・スタウントンをはじめ、どの俳優も素晴らしい。演出も撮影も見事である。
監獄のなかの主人公の重い足取りと、彼女なしの家族の寂しい食事風景で映画は終わる。心に残るエンディングである。
ハリウッドでは絶対に作れないような地味なテーマの地味な作品だが、こういう映画がときおりでも公開されないと映画の世界が貧しくなってしまうように思う。
第二次大戦直後のイギリスが舞台で、あちこちにまだ戦争の余韻が残る。ひっそり身を寄せ合って生きている貧しい人々が中心的に描かれている。家族だけでなくどんな人にも温かく接する主人公が経験する悲惨な出来事がストーリーの軸になる。
見る者からすれば、彼女の生き方や考え方から彼女がとった行動がすんなりと理解できる。しかし、それは国家や社会の規範に背くものであり、結果的に彼女を惨めな境遇に落としてしまう。
こうなって、ああなって、ああなる、ということは観客にはすぐにわかるわけだが、そのとおりに映画は進行する。ただ、それがまったく破綻なく、過不足なく演じられ映像化されている。主人公ヴェラを演じるイメルダ・スタウントンをはじめ、どの俳優も素晴らしい。演出も撮影も見事である。
監獄のなかの主人公の重い足取りと、彼女なしの家族の寂しい食事風景で映画は終わる。心に残るエンディングである。
ハリウッドでは絶対に作れないような地味なテーマの地味な作品だが、こういう映画がときおりでも公開されないと映画の世界が貧しくなってしまうように思う。
by himitosh
| 2006-05-25 08:53
| 映画