2006年 06月 03日
新方式の駐車違反取締 |
6月1日から始まった民間の駐車違反取締員による違法駐車の摘発について、感じたことと考えたことを書いておこう。
1日、2日と自転車通勤で松本の街を通った。いつも走る道路だが、明らかに違法駐車は減っているように感じる。自転車だと左端の車線にとまっている車を避けて大きく右に寄らないといけないわけだが、それが目に見えて少なくなった。
とまっているのはだいたいいつも同じ車なのだ。だから、道路を駐車場にしていた人たちは今回の変化に相当神経質になっているように思う。初日は(民間取締員制度が導入された)長野と松本だけで摘発件数がわずか10件だったというのも、明らかに新制度を意識しているせいだろう。ただ、取締員はたいした人数ではないので、そのうちに高をくくって車をとめる者が現れてくるのではないか。また、東京や大阪などの大都市では、人数的にまったく足りないのではないか。
この取締員という仕事は、少なくとも新聞などで読む限りでは、きわめて単純なもののように思う。放置車両をデジカメで撮影し、ナンバーその他を端末に入力し、シールを貼るだけなのだから。この仕事を警察OBなどに限定する理由がわからない。簡単な講習を受けるだけで誰でもできるようにすべきではないか。写真にあるような制服みたいなものを着る必要もない。むしろ、その辺にいる誰もが摘発可能なほうが、違法駐車を防ぐ効果は高いだろう。
それから、この仕事の報酬は歩合制ではないということがアナウンスされているが、これもおかしい。熱心に仕事をさせるには、摘発件数に応じて報酬を増額する仕組みがなければならない。アメリカ合衆国の多くの都市ではParking Officerと呼ばれる民間取締員がいて、彼らはやはり歩合制で仕事をしている。ニューヨークだけで年間970万件の違法駐車の摘発が行われているそうだ。そこまでやらないと都市の違法駐車は目に見えて減らないように思う。
(1)誰もが簡単な講習を受けさえすればできる。
(2)端末・デジカメその他も一般的な機器が使えるようにする(モバイルPCに無線LAN機能があれば、問題なく利用できるのではないか)。
(3)報酬は歩合制とする。
この三つの条件が満たされれば、今の日本の社会ならやりたい人たちは数多くいるのではないか。定職の見つからない若者や、定年退職後の老人、子育て途中の女性などなど、現在の日本で利用されていない労働資源はたくさん存在する。
散歩の途中で違法駐車を発見したら、ポケットからデジカメを取り出してぱっと撮影してシールを貼るだけで数千円もらえるのであれば、誰もが取締員になりたいというかもしれない。市民の監視の目が行き届いている社会を息苦しいと見る人もいるかもしれないが、車を持つこと自体がこれからは厳しい目で見られるようになるだろうから、時代の趨勢ではないかと思う。
自動車を持つことをもっと不便なものにすることで、自動車の数を減らすことにつながるだろう。この新しい制度はそういう大きな時代の変化のきっかけになるような予感がする。
by himitosh
| 2006-06-03 17:02
| 社会