2007年 02月 25日
『翻訳家の仕事』 |
『翻訳家の仕事』(岩波新書)読了。岩波書店の雑誌『図書』で連載されていた「翻訳はおもしろい」というコラムに寄稿した37人の翻訳家たちのエッセイを集めたものである。そのほとんどは文学系の翻訳者で、歴史や社会科学・自然科学系の翻訳者はいない。わたしもけっこう翻訳の仕事をやっているので、なかなかおもしろく読んだ。
イタリア語で「Traduttore e' traditore.(翻訳者は裏切り者)」という言い方があるが、翻訳は結局のところ「わたしはこう読んだ」という翻訳者の報告書でしかない。百人の翻訳者がいれば、百通りの訳書があり得る。したがって、完璧な翻訳はない。そうでも思わなければ、翻訳などという仕事はやれない。
それから、あとは原作者の文体がすっと自分のなかに入ってくるかどうか、ということがある。たいていはある程度まで作業が進行すれば、そういうことが起こるのだが、最後までまるでダメということもある。後者のような原作を引き受けるのはやめたほうがいい。それは歴史の著作でも同じである。
イタリア語でも英語でもフランス語でも、作者はひとりひとり違っているので、単一の方法論で翻訳に取り組んでもたいていうまく行かない。ある作者に有効な方法が他の作者にはまるっきり役に立たないのである。そういうようなことをこの本を読みながら考えていた。
でも、けっこう翻訳という仕事をわたしは好きなのだ。ちょっとずつでもやっていれば、いつかは終わるし、ぽっとあいた時間を有効に使える。また、最近はインターネットのおかげで翻訳の際の調べ物がものすごく楽になった。
ほかにも同じようなことを考えている人がいると思う。であれば、どんどん翻訳書が増えるかというと、そうでもない。結局本を読む人が増えていないから、出版される翻訳書も増えないのだ。
イタリア語で「Traduttore e' traditore.(翻訳者は裏切り者)」という言い方があるが、翻訳は結局のところ「わたしはこう読んだ」という翻訳者の報告書でしかない。百人の翻訳者がいれば、百通りの訳書があり得る。したがって、完璧な翻訳はない。そうでも思わなければ、翻訳などという仕事はやれない。
それから、あとは原作者の文体がすっと自分のなかに入ってくるかどうか、ということがある。たいていはある程度まで作業が進行すれば、そういうことが起こるのだが、最後までまるでダメということもある。後者のような原作を引き受けるのはやめたほうがいい。それは歴史の著作でも同じである。
イタリア語でも英語でもフランス語でも、作者はひとりひとり違っているので、単一の方法論で翻訳に取り組んでもたいていうまく行かない。ある作者に有効な方法が他の作者にはまるっきり役に立たないのである。そういうようなことをこの本を読みながら考えていた。
でも、けっこう翻訳という仕事をわたしは好きなのだ。ちょっとずつでもやっていれば、いつかは終わるし、ぽっとあいた時間を有効に使える。また、最近はインターネットのおかげで翻訳の際の調べ物がものすごく楽になった。
ほかにも同じようなことを考えている人がいると思う。であれば、どんどん翻訳書が増えるかというと、そうでもない。結局本を読む人が増えていないから、出版される翻訳書も増えないのだ。
by himitosh
| 2007-02-25 21:27
| 本