2007年 11月 29日
「めし」「山の音」 |
先週授業で「東京物語」(小津安二郎監督)を見て以来、原節子の顔が脳のどこかに居座ってしまったようだ。そんなわけでレンタルDVDで「めし」「山の音」と成瀬巳喜男監督の作品を続けて見る。「めし」が1951年、「山の音」が1954年の作品である。
どちらも素晴らしい。成瀬の映画は小津にくらべると妙に色っぽい部分がある。もちろんこの時代の映画だからそれはあけすけな表現ではなく、性的な暗喩と言ったほうが正確かもしれない。そしてぞくぞくするほど女優が美しい。
原節子には今の女優からは感じ取れないずっしり詰まった身体感がある。そこから発せられるオーラの強さが彼女の持ち味であろう。小津作品の原節子より成瀬作品の彼女のほうがわたしには魅力的に感じられた。
そして相手役の上原謙や山村聡たちも実に立派である。上原謙はこんなにうまい役者だと思っていなかった。それだけでなく、キャスティングが見事だ。そのほかに画面に映し出される東京や大阪の街の風景や住宅街の様子などを見ていると、こういう映画は立派な文化遺産だと思う。
「山の音」は川端康成の原作を映画化したものだが、こんなにあけすけに性のことをセリフで語る映画だとは思わなかった。だが、それは原作通りのようだ。川端康成は日本的伝統美の流れのなかで語られることが多い作家だが、実際にはきわめて動物的な、男性の欲望を表現する作家だったのではないかと思う。
これからしばらく成瀬巳喜男の映画を見ることにしよう。
どちらも素晴らしい。成瀬の映画は小津にくらべると妙に色っぽい部分がある。もちろんこの時代の映画だからそれはあけすけな表現ではなく、性的な暗喩と言ったほうが正確かもしれない。そしてぞくぞくするほど女優が美しい。
原節子には今の女優からは感じ取れないずっしり詰まった身体感がある。そこから発せられるオーラの強さが彼女の持ち味であろう。小津作品の原節子より成瀬作品の彼女のほうがわたしには魅力的に感じられた。
そして相手役の上原謙や山村聡たちも実に立派である。上原謙はこんなにうまい役者だと思っていなかった。それだけでなく、キャスティングが見事だ。そのほかに画面に映し出される東京や大阪の街の風景や住宅街の様子などを見ていると、こういう映画は立派な文化遺産だと思う。
「山の音」は川端康成の原作を映画化したものだが、こんなにあけすけに性のことをセリフで語る映画だとは思わなかった。だが、それは原作通りのようだ。川端康成は日本的伝統美の流れのなかで語られることが多い作家だが、実際にはきわめて動物的な、男性の欲望を表現する作家だったのではないかと思う。
これからしばらく成瀬巳喜男の映画を見ることにしよう。
by himitosh
| 2007-11-29 20:52
| 映画