2008年 03月 19日
議員報酬の日当制について |
福島県矢祭町の町議会議員の報酬が日当制に変わるということだが、これは他の地方議会にも広がりつつあるようだ。
それが変わるのは普通選挙制の導入時である。工業化・都市化の進行とともに労働者階級の利害を代表する政党が議員を送り込むようになると、ほかに生業や財産を持たない議員たちに生活を支えるための報酬を出す必要が出てくる。だから、選挙権の拡大と議員の報酬制はどの国でもセットで導入された。
そういう視点から見ていくと、地方議会の議員もレベルによるかもしれないが、フルタイムで議員としての仕事を要求されないケースでは今の日本の社会では日当制もあり得るように思う。議員報酬を削ってみて支障がないことが多くなれば、あっという間にかなりのところまで広がる可能性がある。県会議員ぐらいまではいけるのではないかと思う。
そうなると、国会議員の報酬も当然問題になってくるだろう。費用対効果の面から見て、はたして現在の報酬額が妥当かどうかシビアに算定すべきであろう。そう言えば、前回の総選挙で当選した小泉チルドレンのひとりが議員報酬の多さに素直に喜んでいる発言をしていたが、あれが正直な反応ではないか。
この矢祭町の議員報酬日当制は意外に広い範囲まで影響を及ぼす可能性があるように思う
議員報酬の日当制を導入する福島県矢祭町の町議選(定数10)が18日告示され、23日の投開票へ11人が選挙戦に入った。新議員は31日の任期から「日当1期生」となる。議員に対する報酬制度だが、ヨーロッパの歴史のなかでは比較的新しいもののようだ。ヨーロッパでは中世から近世を通じてさまざまな形の議会が存在したけれども、そのほとんどは無給である。イングランドの議会もそうだし、フランスの三部会などの身分制議会も議員たちは報酬をもらっていない。こういう仕事はNoblesse obligeとして名誉職的な意味合いも含まれていた。
地方自治体の財政が厳しさを増す中、議員活動のボランティア化という点からも注目される。
日当制は、「合併しない宣言」で知られる同町が行財政改革を進める中で浮上。条例案は昨年12月に議員提案で可決された。
月額20万8000円の議員報酬を1日3万円にする。額は、課長職6人の平均収入を平均実働日数で割った約4万4000円に対し、議会が半日ほどで終わることも考慮し、その7割とした。
支給対象は定例会、臨時会、委員会などや、消防団の出初め式、成人式、敬老会など町主催の行事のほか、議長が認めたもの。年間30日程度とみられ、議員1人当たり年間約90万円となる。期末手当も廃止され、年間約2500万円の経費削減となる見込みだ。
告示前の今月5日には、立候補予定者が「予定者一同」の名前で、陣中見舞いや当選祝いの「お断り」広告を地域紙に掲載し、議会改革もアピール。現職7人、元議員1人、新人3人が出馬した。
前鳥取県知事の片山善博・慶大教授は「日当制は議会の多様性につながる取り組みとして評価できる。経済的魅力が減ることで、職業政治家としての議員の代わりに、若者や女性、サラリーマンなどが出やすくなる可能性もある」とする。(2008年3月18日22時09分 読売新聞)
それが変わるのは普通選挙制の導入時である。工業化・都市化の進行とともに労働者階級の利害を代表する政党が議員を送り込むようになると、ほかに生業や財産を持たない議員たちに生活を支えるための報酬を出す必要が出てくる。だから、選挙権の拡大と議員の報酬制はどの国でもセットで導入された。
そういう視点から見ていくと、地方議会の議員もレベルによるかもしれないが、フルタイムで議員としての仕事を要求されないケースでは今の日本の社会では日当制もあり得るように思う。議員報酬を削ってみて支障がないことが多くなれば、あっという間にかなりのところまで広がる可能性がある。県会議員ぐらいまではいけるのではないかと思う。
そうなると、国会議員の報酬も当然問題になってくるだろう。費用対効果の面から見て、はたして現在の報酬額が妥当かどうかシビアに算定すべきであろう。そう言えば、前回の総選挙で当選した小泉チルドレンのひとりが議員報酬の多さに素直に喜んでいる発言をしていたが、あれが正直な反応ではないか。
この矢祭町の議員報酬日当制は意外に広い範囲まで影響を及ぼす可能性があるように思う
by himitosh
| 2008-03-19 10:11
| 政治