2009年 04月 23日
歯科大から始まる大学倒産のドミノ倒し |
数年前から顕著になってきている私立大学の定員割れだが、もっともそれがドラスチックな形で展開しているのが歯科大学である。
この記事にもある松本歯科大はわたしの家の近くにある。この数年信州大学のアドミッション・センターの仕事をしていて松本歯科大とも何度か接触があったのだが、学生募集や入試の話を聞くと、何だかまるで別の世界の話のような気がした。
何と言っても初年度納付金が1千万円を超え、6年間の歯学教育を受けさせるためには数千万円の費用が必要なのだから、その額を払うことができる者は限られている。私立の歯科大学を卒業して開業するまでには6000万円から8000万円が必要だという(ウィキペディア「歯科医師過剰問題」)。
しかも、歯科医師の国家試験は年々合格率が低下して、2009年度の試験では合格率が67.5%と三分の一は落第している。(ちなみに松本歯科大の合格率は32.5%、受験者3人のうち1人しか合格していない。)それだけの投資と犠牲を払って得られる年収が300万円では、費用対効果から見て志願者が減るのは当然のことと思われる。
当面の5年や10年はもっても、そのあとは消えていく大学がどんどん増えていくのではないだろうか。
全国17の私立歯科大・歯学部のうち6割強の11校で、今春の入学者が定員割れを起こしていることが、読売新聞社の調査でわかった。先月にこのブログで書いたなかに「歯医者の話」というものがあった。とにかく歯医者は今は難しい商売になっていて、過当競争の結果収入が激減しているというのは間違いないらしい。その結果歯科医の5人に1人は年収300万円以下になっているといわれる。
中には定員の4割以上にあたる35~43人の欠員が出た大学が3校あった。受験者総数も4973人と、前年より約2800人減少した。大幅な定員割れで質的に一定レベルの入学者を確保できないおそれもある。「歯科医療の崩壊につながりかねない」として日本私立歯科大学協会も危機感を強め、対策等の検討を始める。
定員割れとなった11校のうち、奥羽大歯学部(定員96人に対し入学者53人)、松本歯科大(80人に対し45人)、日本歯科大新潟生命歯学部(96人に対し57人)の3校の欠員は定員の4割以上に達した。さらに、北海道医療大歯学部、岩手医科大歯学部、神奈川歯科大も、1割~3割の定員割れだった。予定されていた入試終了後に、急きょ追加募集を行いながら、定員に届かなかった学校も5校あった。これほど大幅な定員割れは初めてという。また、2006年度までは1万人を上回り安定していた私立大の受験者総数も、今春は4973人だった。国公立大で定員を満たさなかったのは1校だけだった。
大手予備校などによると、受験者が減少した最大の原因は、歯科医師の過剰感。歯科医師数は90年の7万4000人から、06年には9万7000人に年々増加。それに対し歯科医療費の総額は伸びておらず、過当競争が目立つ。開業が難しいため、若手の歯科勤務医の場合、年収300万円以下というケースもあり、「かつての高収入のイメージが崩れている」と予備校関係者は指摘する。
定員割れに伴い、入学金を含め、一般に700万~1000万円といわれる初年度の納入金も減るため、学校経営にも大きな打撃となる。各校では今後、来年の入試に向けた検討を行うが、即効性のある対策は難しいという声が多い。(読売新聞4月18日)
この記事にもある松本歯科大はわたしの家の近くにある。この数年信州大学のアドミッション・センターの仕事をしていて松本歯科大とも何度か接触があったのだが、学生募集や入試の話を聞くと、何だかまるで別の世界の話のような気がした。
何と言っても初年度納付金が1千万円を超え、6年間の歯学教育を受けさせるためには数千万円の費用が必要なのだから、その額を払うことができる者は限られている。私立の歯科大学を卒業して開業するまでには6000万円から8000万円が必要だという(ウィキペディア「歯科医師過剰問題」)。
しかも、歯科医師の国家試験は年々合格率が低下して、2009年度の試験では合格率が67.5%と三分の一は落第している。(ちなみに松本歯科大の合格率は32.5%、受験者3人のうち1人しか合格していない。)それだけの投資と犠牲を払って得られる年収が300万円では、費用対効果から見て志願者が減るのは当然のことと思われる。
当面の5年や10年はもっても、そのあとは消えていく大学がどんどん増えていくのではないだろうか。
by himitosh
| 2009-04-23 17:22
| 大学