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2012年 05月 06日
![]() で、映画は笑えた。特に前半はヤマザキマリのマンガのギャグをほぼそのまま実写化していて、その部分はほんとうにばかばかしくて笑える。主役のルシウスを演じる阿部寛の大仰な演技はマンガの表情と重なり、オカシイ。 ただ、後半になって(マンガにない)上戸彩の役が前面に出てくるようになると、もういけない。テンポが悪くなり、ギャグが決まらない。もっとオリジナルの設定を大事にしたほうがおもしろかったのではないか。漫画を読まないで観た人でも後半がたるんでいることはわかるだろう。 原作のマンガを愉しんだ人にはオススメするが、なにごともマジメに考える人は向かない映画である。
2012年 04月 21日
ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画「1900年」のDVDが6月にようやく発売される。なにしろこの映画はわたしが留学中に見たのだから、もう40年近く昔の作品である。なぜこんなに遅れたのだろうか。とにかく、アマゾンで予約だけは入れておいた。全部で5時間半もある長い映画なので、イタリアで公開されたときは一部と二部に分かれて別々に上映されていた。たしかわたしは前編はシエーナで、後編はローマで見たように記憶している。 1900年に生まれた二人の男の半生がイタリアの現代史のなかで描かれている映画なのだが、まあ何というかきわめて図式的な構成で、左翼の教科書のような内容なのである。だが、しかし、これが面白くて、美しい映画になっているのは、撮影のヴィットリオ・ストラーロと監督の力がある。そしてエンニオ・モリコーネの音楽がまた美しい。 そして、俳優たちがほんとうに絵のように美しい。主役の二人を演じるジェラール・ドパルデューとロバート・デ・ニーロも若くてはつらつとしていたし、この写真のドミニク・サンダがまた実に魅力的だった。 わたしの手もとにはずっとレンタルビデオからダビングしたビデオ版しかなかったのだが、これで懸案の映画のDVDが手に入った。
2012年 04月 15日
![]() 無声映画からトーキーに切り替わった1920年代のハリウッドを舞台にしたフランス映画で、それを無声映画で描くというのはたしかに変わっている。ただ、まあそのたったひとつのアイデアだけで、映画としての中味は薄いと思う。 同じ時期を扱ったハリウッド映画には「雨に唄えば」(スタンリー・ドーネン監督)という大傑作ミュージカルがある。あれと比べるのが気の毒なぐらい魅力に欠ける。そういえば、主演男優賞をとったジャン・デュジャルダンのにやけけた顔とがっちりした体型はジーン・ケリーを思わせる。けっこうそのあたりを意識しているのではないか。 古いハリウッド映画へのオマージュを感じ取ることはできるのだが、それが映画としての魅力につながっていない、と思った。無声映画はおろかミュージカル映画もあまり見ていない若い人にはこれがおもしろく感じられるのだろうか。わたしのような古手の映画ファンには物足りない映画であった。
2012年 03月 16日
![]() 映画そのものはお伽話の雰囲気が強い。よく言えば「メルヘン」、悪く言えば「動く紙芝居」。だいたいスピルバーグの作る映画には映像の奥行きが乏しくて、こういう時代物の映画は向かないようだ。 しかし、いかにも作り物であっても、美しい映像が続くのでうっとり感動する場面もある。リアルな戦争場面がどこかメルヘンチックになってしまうのである。同じように第一次世界大戦を舞台にした「素晴らしき戦争」(リチャード・アッテンボロー監督)が絵空事で戦争を描きながら、リアルな悲惨さを浮かび上がらせているのとは好対照である。 でも、一見の価値はある。悪い映画ではない。
2012年 01月 01日
![]() 監督であるミハルコフ自身が主演も兼ねるのは前作と同じである。そして監督の娘が娘役をやっている。こういうケースは最近の映画では珍しい。それから、ミハルコフ作品にはよく起用されるオレグ・メンシニコフが前作同様重要な役を演じている。この俳優たちがとてもいい。そして、風景というか、ロシアの風土がこの映画でもすばらしく美しく描かれている。 独ソ戦が描かれた映画が日本で公開されることはあまりない。その意味でも貴重な映画だろう。
2011年 06月 22日
![]() オリジナルがのんびりした西部劇で、そののんびりぶりがコーエン兄弟のペースに合致していたようで、なかなかいい映画だった。細部の描き方がオリジナルよりもきっちりしているので、映画の密度が高い。 ジェフ・ブリッジスの老保安官もよかったし、少女役のヘイリー・スタインフェルドもよかった。マット・デイモンの役はかつてはグレン・キャンベルが演じたが、これはもとのほうがいいように思う。 中学生ぐらいまではあれほど作られていた西部劇が、最近はほとんどなくなってしまった。アメリカの時代劇だからなくなることはないだろうが、インディアンだとか黒人だとかのマイノリティの問題が絡むから、難しいのだと思う。 でも、久しぶりの西部劇はけっこう楽しめた。
2011年 05月 18日
![]() ただ、映画になってつけ加わった設定とか、脇役のキャスティングなどには大いに異論がある。予算とか時間とかの枠のなかで作られていて、せいぜい高校生ぐらいを対象にしている作品であるためか、「どうせ子どもに見せるんだからこんなもんでいいや」といった、観客をリスペクトしていない姿勢があちこちに感じられる。そのあたりがとてもつらい。 原作マンガのファンだけを対象に撮られた映画なのだろう。
2011年 05月 03日
![]() ジャック・ブラック主演の「ガリバー」ということで見るまえからどんな映画であるかはだいたい予想がついたが、ほぼその想像の範囲内でおさまってしまっている。 ただ、映画としておもしろいか、と尋ねられたら、素直に「イエス」とは答えにくい。子ども向けの映画と簡単に言い切るのは難しいかもしれない。それはジャック・ブラックという俳優のキャラクタが家族向けではない、なにがしかの毒を含んでいるからだ。 どうせならもっとハチャメチャな映画にしてもらうか、あるいはスウィフトの原作にもっと忠実に撮ったほうがおもしろくなったかもしれない。こぢんまりした映画である。 というわけで、今回のジャック・ブラックはちょっとばかり外れということでした。
2011年 04月 14日
![]() 1930年代のイギリスが舞台で、ジョージ5世の次男ヨーク公アルバート(愛称バーティ)が主人公。吃音症を抱える彼がさまざまないきさつの結果国王ジョージ6世となり、第二次大戦前の緊迫した時代情勢のなかで王としての役割を果たさねばならなくなる。その際に吃音をどうやって克服するか。ストーリーはこれだけである。 こういう映画だから、脚本と俳優の演技力がものを言う。ジョージ6世役のコリン・ファース、言語療法士役のジェフリー・ラッシュ、王妃エリザベス役のヘレナ・ボナム=カーターの三者は素晴らしい。達者な俳優たちのおかげで2時間近い映画だが退屈するところはなかった。 この映画を見ながら思ったのは、君主に対する距離感が日本とヨーロッパでは大きく違っていることだ。日本映画で天皇が登場しても、血肉を持った人間として描かれることはほとんどない。また、君主が抱えたハンディキャップをテーマにすることなど、日本では考えられないだろう。イギリスの王室が、良くも悪くも、歴史のなかで国民生活にコミットしてきたという事実があるからこういう映画を撮ることができるのだろう。 ヨーロッパの歴史に関心がある人だけでなく、君主という存在に関心を持つ人なら興味深い映画だと思う。
2011年 02月 27日
![]() イーストウッドには珍しく、死後の世界との交流という一種オカルト的なテーマの映画である。エンドクレジットを見ていたらスピルバーグの名前が製作総指揮で入っていた。しかし、イーストウッドとスピルバーグでは水と油みたいな感じがする。 映画そのものは、う~ん、ちょっとこれはかなり苦しい作品だと思う。何よりもすっきりと結論が出せるようなテーマではないので、どれだけストーリー展開に説得力があるかが問題となる。そういう視点で見ると、やっぱり脚本が弱い。三つの違う話が最後に交差するわけだが、そのあたりも工夫がもっと必要だと思う。そしてラストがあっけなさすぎると同時に、腑に落ちない。イーストウッドもこういう映画を撮るんだ、と思った次第である。 しかし、個々のシーンはとても緻密に撮られていて、イーストウッド自身が担当している音楽も素晴らしい効果を上げている。映画作りの技術が作品の質とシンクロしていないように感じた。 < 前のページ次のページ >
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