2010年 01月 09日
密輸タバコをめぐって |
産経新聞にタバコの密輸・密造をめぐる記事が掲載されていた。今年10月からのタバコ価格の100円引き上げで、密輸タバコで利益が上がる分益点を超えるかもしれない。しかし、いままでは密輸しても儲からないぐらい安い価格だった、ということは日本は密造タバコの製造国と同じぐらいの社会水準であることになる。
また、やたらと品質に厳しい日本の消費者(喫煙者)がどこで作られているかわからないタバコをやすいからといってやたらと買うだろうか。あの餃子事件以後中国からの食品の輸入が激減したことを思い出せばいい。
密輸をしたものの、さっぱり儲からず、リスクだけは大きいということになれば、闇社会も手を引くのではなかろうか。
政府は昨年末に閣議決定した平成22年度税制改正大綱で、今年10月からたばこ税を1本当たり3・5円引き上げる方針を示した。たばこ1箱の値段では、現行の標準的な価格300円が400円ほどに値上がりする見通しとなっている。私見では100円ぐらいの引き上げではヤミタバコはさして増えないだろう。もっと利益が上がらないとコストを回収できないのではないか。
そのたばこをめぐり、日本の「水際」で不気味な動きが出始めている。全国の税関で相次いで密造たばこが発見され、輸入が差し止められたのだ。20年中の差し止め件数は、たばこと喫煙用具で計9万8611点。前年の3619点から約27倍に急増した。
「日本や米国の有名銘柄の密造品で、送り主は大半が中国から」(財務省関税局)。コンテナで大量に-というケースはなく、中身を別物と偽ってビジネス向けの国際速達郵便などで送る手口が大半だ。「増加の理由は分からないが、組織的な背景の有無を含めて調査中」と、関税局も警戒を強めている。
「たばこの値上げをにらんで、中国の密造組織が、日本の税関の実力を試す“試験”を始めたのではないか」
日本は密造たばこと無縁とされてきた。「たばこ事業法」が、栽培から流通、小売りまで厳密に規制しているからだ。
日本たばこ産業(JT)によると、「葉タバコの栽培自体は一般の人でもできるが、喫煙用のたばこに加工してよいのはJTだけ」(IR広報部)。違反者には1年以下の懲役などの罰則もある。
最も、たばこ作りには大規模な設備やノウハウが必要だ。「簡単に密造できるものではなく、ただ作ってもまずくて吸えない」(JT)という。
そうした製造の規制に加え、輸入販売や小売りにも国への登録・許可が必要。海外ブランドの輸入たばこも含め、国内販売のほぼ全量をJTの子会社が配送するなど、流通面でもシステムが確立されている。
密造たばこが国内で出回ったケースもないわけではない。12年には中国で密造された「セブンスター」などが流通した。日中混成の犯行グループが商標法違反容疑などで摘発されたが、グループは「経費を抜くと、ほとんどもうからなかった」と供述し、たばこの価格が比較的安い日本への密造たばこの輸出が割に合わないことを裏付けた。
しかし、こうした日本の状況は、世界的には例外といえる。
「たばこの密輸はグローバルな問題だ。組織化された犯罪集団により違法なビジネスが行われ、莫大(ばくだい)な利益をもたらしている」
世界税関機構はホームページ上でこう警告。例えば2006年にはEUで脱税額にして4億6千万ユーロ(1ユーロ=132円として約607億円)もの密造たばこや正規品の横流したばこが密輸品として押収された。米司法省も、たばこの違法取引の収益がテロ組織の資金源になっていると指摘している。
急激な増税と密輸の増加にも密接な関係が指摘されている。英国では1996~2000年の急激な増税で全消費に占める密輸たばこの割合が11%から37%に上昇する一方、税収は減少している。
「現状で、日本に密造たばこの市場が存在するかは疑問だが、値上げ次第では海外のように横行する可能性は十分ある」と財務省の担当者は指摘する。(産経新聞1月9日18時)
また、やたらと品質に厳しい日本の消費者(喫煙者)がどこで作られているかわからないタバコをやすいからといってやたらと買うだろうか。あの餃子事件以後中国からの食品の輸入が激減したことを思い出せばいい。
密輸をしたものの、さっぱり儲からず、リスクだけは大きいということになれば、闇社会も手を引くのではなかろうか。
by himitosh
| 2010-01-09 21:00
| タバコ