2011年 03月 11日
ファージング三部作 |
去年の夏に創元推理文庫から出たミステリでファージング三部作というものがある。ジョー・ウォルトンというイギリスの作家の手になるもので、歴史改変もののジャンルに入る。『英雄たちの朝』、『暗殺のハムレット』、『バッキンガムの光芒』と三部作それぞれに共通する登場人物もいるが、基本は別々のヒロインが活躍する道具立てになっている。
どのように歴史が変わっているかというと、その世界では第二次大戦中にイギリスがナチスと講和を結んでおり、ヨーロッパ大陸は(独ソ戦は続いているが)ナチスが支配している。第一部は1948年という設定で、対独講和をリードしたイギリスの保守派が国家権力の中枢にあって、ファシズム体制へとイギリス国内を動かしていく。
歴史研究者の目から見ても、リアリティがあってとてもおもしろい小説である。これを読んでいて興味深いのは、イギリスという国の階級社会のリアリティが随所でうかがえる点である。たとえば、第一部はイギリスの上流社会が主たる舞台になるが、なるほどこうだろうなあと思うような描写がたくさん出てくる。
この第一部のヒロインは5人姉妹のひとりということなのだが、姉妹のなかにはナチスの幹部と結婚する者までいるという設定になっている。それを読んで思い出したのは、ミットフォード6姉妹のことだった。おそらくこのミットフォード姉妹がモデルになっているのは間違いない。姉妹のなかにはオズワルド・モズレーというイギリス・ファシスト連盟のリーダーと結婚した者もいるし、ナチスときわめて深い関係を持った者もいる。
作家としてはナンシー・ミットフォードがよく知られた存在である(が、日本では無名である)。ナンシーはそういうイギリスの上流社会をバックにした小説やエッセイを数多く書いている。
話を元に戻すと、ファージング三部作はヨーロッパの現代史にある程度関心のある人にはお勧めしたい。高校生ぐらいの世界史の知識があれば、十分理解できると思う。
どのように歴史が変わっているかというと、その世界では第二次大戦中にイギリスがナチスと講和を結んでおり、ヨーロッパ大陸は(独ソ戦は続いているが)ナチスが支配している。第一部は1948年という設定で、対独講和をリードしたイギリスの保守派が国家権力の中枢にあって、ファシズム体制へとイギリス国内を動かしていく。
歴史研究者の目から見ても、リアリティがあってとてもおもしろい小説である。これを読んでいて興味深いのは、イギリスという国の階級社会のリアリティが随所でうかがえる点である。たとえば、第一部はイギリスの上流社会が主たる舞台になるが、なるほどこうだろうなあと思うような描写がたくさん出てくる。
この第一部のヒロインは5人姉妹のひとりということなのだが、姉妹のなかにはナチスの幹部と結婚する者までいるという設定になっている。それを読んで思い出したのは、ミットフォード6姉妹のことだった。おそらくこのミットフォード姉妹がモデルになっているのは間違いない。姉妹のなかにはオズワルド・モズレーというイギリス・ファシスト連盟のリーダーと結婚した者もいるし、ナチスときわめて深い関係を持った者もいる。
作家としてはナンシー・ミットフォードがよく知られた存在である(が、日本では無名である)。ナンシーはそういうイギリスの上流社会をバックにした小説やエッセイを数多く書いている。
話を元に戻すと、ファージング三部作はヨーロッパの現代史にある程度関心のある人にはお勧めしたい。高校生ぐらいの世界史の知識があれば、十分理解できると思う。
by himitosh
| 2011-03-11 13:36
| 本