2005年 08月 24日
「裏甲子園大会」のススメ |
先ごろの甲子園大会で優勝した高校で野球部長が部員を殴っていたことが問題になっている。全国津々浦々の高校の野球部に所属する高校生たちは「なんでそんなことが問題になるの?」と首をひねっているのではないか。「気合が入っていない」部員に「気合を入れる」のは指導者として当たり前のことである、というわけだ。
予選を勝ち抜いて甲子園に出場するような高校の野球部ではそうした暴力が当然のものとして受け入れられているようにわたしは見ている。学校スポーツをめぐる雰囲気はそう簡単に変わるものではないからだ。先輩後輩の序列意識とか監督やコーチに対する絶対服従とか、学校のクラブをめぐってはいまだに前近代的な考え方がまかり通っているのは間違いないだろう。
現役の選手時代に殴られた者は、長じて指導者になったときには選手たちを殴るようになるはずだ。そう、これはドメスティック・バイオレンスの場合と同じ構造である。甲子園での高校球児たちのプレーの背後にそうした陰惨な人間関係や時代錯誤的メンタリティーが存在することをわれわれは忘れがちだが、暴力の、負の連鎖が脈々と息づいているのが高校野球の世界なのである。まるで極道の世界である。
監督や部長は選手を殴り、上級生は下級生を殴り、そうやって野球の強い高校ができあがってきたのである。だから、テレビの画面を通して感知すべきことは、日本の社会におけるそうした儒教的・封建的モラルの強さなのである。「艱難辛苦汝を珠にす」という教えを守る若者たちをそこに見出すべきなのである。
今回のケースもそうした状況に異議を唱えて告発に踏み切ったのは選手の親であった。どっぷりと前時代的な空気に浸っている選手には当然のことでも、親の目から見ればそれが異常と見えることはあるだろう。
しかし、笑ってしまうのは事態が明らかになったことをめぐっての学校側と親の言い分が180度食い違う点である。学校側は「大会期間中は対応しなくていいと保護者が言った」と主張し、親のほうは「大会期間中は黙っててくれと頼まれた」と言っている。これはどちらかといえばおそらく学校側が嘘をついているのだろう。(学校側は事態が大会前に明るみに出れば確実に出場辞退に追い込まれることを認識していたからこそ、大会が終るまで隠そうとしたのだろう。そのことから考えれば出場資格はなかったわけで、そうなると全国優勝という結果も取り消さざるを得なくなる。)
いずれにせよ、甲子園に出場しているような高校の場合にはどこでも同様の問題を抱えているのではないか。こういう状況が続けば、親や匿名者が告発するケースはまだまだ増えるだろうし、処分を受ける高校も多くなるだろう。
そうやって出場辞退や出場停止に追い込まれた高校だけを集めて「裏甲子園大会」というのを開催したらどうだろうか。場所は網走あたりなら、夏でも涼しくてよかろう。いかなる形であれ、高校の三年間を野球に賭けた若者たちに自己実現の機会を与えることが重要だと考えるがどうだろうか。
予選を勝ち抜いて甲子園に出場するような高校の野球部ではそうした暴力が当然のものとして受け入れられているようにわたしは見ている。学校スポーツをめぐる雰囲気はそう簡単に変わるものではないからだ。先輩後輩の序列意識とか監督やコーチに対する絶対服従とか、学校のクラブをめぐってはいまだに前近代的な考え方がまかり通っているのは間違いないだろう。
現役の選手時代に殴られた者は、長じて指導者になったときには選手たちを殴るようになるはずだ。そう、これはドメスティック・バイオレンスの場合と同じ構造である。甲子園での高校球児たちのプレーの背後にそうした陰惨な人間関係や時代錯誤的メンタリティーが存在することをわれわれは忘れがちだが、暴力の、負の連鎖が脈々と息づいているのが高校野球の世界なのである。まるで極道の世界である。
監督や部長は選手を殴り、上級生は下級生を殴り、そうやって野球の強い高校ができあがってきたのである。だから、テレビの画面を通して感知すべきことは、日本の社会におけるそうした儒教的・封建的モラルの強さなのである。「艱難辛苦汝を珠にす」という教えを守る若者たちをそこに見出すべきなのである。
今回のケースもそうした状況に異議を唱えて告発に踏み切ったのは選手の親であった。どっぷりと前時代的な空気に浸っている選手には当然のことでも、親の目から見ればそれが異常と見えることはあるだろう。
しかし、笑ってしまうのは事態が明らかになったことをめぐっての学校側と親の言い分が180度食い違う点である。学校側は「大会期間中は対応しなくていいと保護者が言った」と主張し、親のほうは「大会期間中は黙っててくれと頼まれた」と言っている。これはどちらかといえばおそらく学校側が嘘をついているのだろう。(学校側は事態が大会前に明るみに出れば確実に出場辞退に追い込まれることを認識していたからこそ、大会が終るまで隠そうとしたのだろう。そのことから考えれば出場資格はなかったわけで、そうなると全国優勝という結果も取り消さざるを得なくなる。)
いずれにせよ、甲子園に出場しているような高校の場合にはどこでも同様の問題を抱えているのではないか。こういう状況が続けば、親や匿名者が告発するケースはまだまだ増えるだろうし、処分を受ける高校も多くなるだろう。
そうやって出場辞退や出場停止に追い込まれた高校だけを集めて「裏甲子園大会」というのを開催したらどうだろうか。場所は網走あたりなら、夏でも涼しくてよかろう。いかなる形であれ、高校の三年間を野球に賭けた若者たちに自己実現の機会を与えることが重要だと考えるがどうだろうか。
by himitosh
| 2005-08-24 14:06
| スポーツ