2005年 10月 02日
塚本学先生の原稿 |
信州大学人文学部の歴史関係の三分野(日本史・東洋史・西洋史)で作っている小さな学会が信大史学会である。教員と学生・OBがメンバーだが、毎年一冊『信大史学』という雑誌を出している。卒論や修論の出来のいいものを載せたりして、学生・院生たちにとっての発表の機会になっている。
その雑誌が今年でなんと30号を迎える。ということで「記念特大号」と称して関係者一同に積極的に寄稿を呼びかけた。その成果があがってどうやら次号はふだんの号の倍近い厚さになりそうだ。
ご多分に漏れず、信大史学会もたいして予算があるわけではない。したがって雑誌の印刷に必要な予算は削れるだけ削らねばならない。そういう事情から数年前から手作りのDTP――ということはすなわちわたしが担当する――ということになっている。
原則としてデータはすべて電子的な形で渡してもらう。それを雑誌のフォーマットに流し込めば出来上がりということなのだが、実際にはそう簡単ではない。註の形式もばらばらだし、図表にグラフなどいろいろなものをつけ加える著者も多い。校正も三回ぐらいはやっているので、かなり面倒な作業である。ボランティア精神がなければできない仕事である。全共闘世代はムスケル(単純労働)を比較的苦にしない。とはいえ、けっこうな時間とエネルギーをとられる仕事なのである。
で、今年はかつて人文学部で教鞭をとっておられた塚本学先生から立派な原稿をいただいた。400字で45枚から50枚。先生は「雑文」と謙遜されておられるが、きちんと註も付いた論文である。
塚本先生のご著書『生類をめぐる政治』(平凡社)を読んだのは、わたしが助手をつとめていた頃だと思う。それ以来おもしろいものを書く人だと考えてきた。そのかたの原稿がいただけたのだから、これは『信大史学』にとっても慶事である。
ところが問題がひとつ生じた。それは先生に送っていただいたフロッピー(文豪ミニ5で作成)が現在のパソコン環境では読めないことであった。物理的にフォーマットが違っているのでダメなのである。あちこちに声をかけたが、解決しない。雑誌は十二月に行う学会までに出来上がっていなければならない。時間はだんだん迫ってくる。
というわけで、結局わたしがプリントアウトされた先生の原稿を入力することにした。少しずつ時間を見て作業した。
塚本先生の原稿は「日本の風景と文化私見」というタイトルで、日本列島の景観がどのように形成され、それがわれわれの文化とどのような関係を持つかというきわめて壮大な論考である。実は最近わたしもイタリアの都市景観のことをいろいろ調べていて、先生の文章をおもしろく読んだのである。
他人の原稿を入力していると、その人の文章のリズムみたいなものがだんだんつかめるようになる。そういうことを感じながら、塚本先生の原稿の入力を5日ほどかけて終えた。いや、この文章はおもしろい。
次号の『信大史学』は市場価値もかなりある号になるように思う。
その雑誌が今年でなんと30号を迎える。ということで「記念特大号」と称して関係者一同に積極的に寄稿を呼びかけた。その成果があがってどうやら次号はふだんの号の倍近い厚さになりそうだ。
ご多分に漏れず、信大史学会もたいして予算があるわけではない。したがって雑誌の印刷に必要な予算は削れるだけ削らねばならない。そういう事情から数年前から手作りのDTP――ということはすなわちわたしが担当する――ということになっている。
原則としてデータはすべて電子的な形で渡してもらう。それを雑誌のフォーマットに流し込めば出来上がりということなのだが、実際にはそう簡単ではない。註の形式もばらばらだし、図表にグラフなどいろいろなものをつけ加える著者も多い。校正も三回ぐらいはやっているので、かなり面倒な作業である。ボランティア精神がなければできない仕事である。全共闘世代はムスケル(単純労働)を比較的苦にしない。とはいえ、けっこうな時間とエネルギーをとられる仕事なのである。
で、今年はかつて人文学部で教鞭をとっておられた塚本学先生から立派な原稿をいただいた。400字で45枚から50枚。先生は「雑文」と謙遜されておられるが、きちんと註も付いた論文である。
塚本先生のご著書『生類をめぐる政治』(平凡社)を読んだのは、わたしが助手をつとめていた頃だと思う。それ以来おもしろいものを書く人だと考えてきた。そのかたの原稿がいただけたのだから、これは『信大史学』にとっても慶事である。
ところが問題がひとつ生じた。それは先生に送っていただいたフロッピー(文豪ミニ5で作成)が現在のパソコン環境では読めないことであった。物理的にフォーマットが違っているのでダメなのである。あちこちに声をかけたが、解決しない。雑誌は十二月に行う学会までに出来上がっていなければならない。時間はだんだん迫ってくる。
というわけで、結局わたしがプリントアウトされた先生の原稿を入力することにした。少しずつ時間を見て作業した。
塚本先生の原稿は「日本の風景と文化私見」というタイトルで、日本列島の景観がどのように形成され、それがわれわれの文化とどのような関係を持つかというきわめて壮大な論考である。実は最近わたしもイタリアの都市景観のことをいろいろ調べていて、先生の文章をおもしろく読んだのである。
他人の原稿を入力していると、その人の文章のリズムみたいなものがだんだんつかめるようになる。そういうことを感じながら、塚本先生の原稿の入力を5日ほどかけて終えた。いや、この文章はおもしろい。
次号の『信大史学』は市場価値もかなりある号になるように思う。
by himitosh
| 2005-10-02 20:29
| 大学