2005年 11月 10日
『下流社会』 |
三浦展『下流社会』(光文社新書)を読了する。
正直なところ、論旨だとかデータの扱いかただとか、とても乱暴な本だと思う。強引に結論を引き出そうとする姿勢がいささか目立ちすぎる。これは社会学の本ではなくてマーケットリサーチの本なのだろうが、こういう論拠や論理で企業は戦略を立てているのだろうか。
ただし、読んでいて議論に納得はいかないのだが、ところどころにはっとするような惹句が登場し、全体として著者の暗い展望を共有するようになってしまう。
いくつか例をあげよう。
このままでは日本社会の階層化・二極化は押し止めようがないという――わたしもそう考えているが――見通しのもとに、いまの状況を説明している。「年収300万円では結婚できない」とか「下流社会の三種の神器は3P(パソコン/ページャー/プレステ)である」とか、それ自体は至極正当な指摘がされている。
わたしの周囲の人々(学生・OB・知人etc.)の例を見たり聞いたりしていると、この十年ほどの間にどの領域でものすごい格差が生まれてきている。それは学生の場合には就職にあたっての格差であり、就職してからは企業の中での格差であり、社会の中での格差であったりする。
「改革」という名の下に進行している事態は、数多くの弱者を切り捨てて、ひとにぎりの強者の手に富と権力を集中させる動きであろう。「負け組」「勝ち組」という言葉がはやったのは数年前だが、もはやはっきりと勝負はついてしまったというべきだろう。
この本は「負け組」の生き方を分析しているわけだが、いったんそちらに組み込まれると、もはや浮かび上がることができない、そういう社会に日本はなってしまったのではないか。とにかく、読んでいて暗澹たる気持になる本であった。
正直なところ、論旨だとかデータの扱いかただとか、とても乱暴な本だと思う。強引に結論を引き出そうとする姿勢がいささか目立ちすぎる。これは社会学の本ではなくてマーケットリサーチの本なのだろうが、こういう論拠や論理で企業は戦略を立てているのだろうか。
ただし、読んでいて議論に納得はいかないのだが、ところどころにはっとするような惹句が登場し、全体として著者の暗い展望を共有するようになってしまう。
いくつか例をあげよう。
このままでは日本社会の階層化・二極化は押し止めようがないという――わたしもそう考えているが――見通しのもとに、いまの状況を説明している。「年収300万円では結婚できない」とか「下流社会の三種の神器は3P(パソコン/ページャー/プレステ)である」とか、それ自体は至極正当な指摘がされている。
わたしの周囲の人々(学生・OB・知人etc.)の例を見たり聞いたりしていると、この十年ほどの間にどの領域でものすごい格差が生まれてきている。それは学生の場合には就職にあたっての格差であり、就職してからは企業の中での格差であり、社会の中での格差であったりする。
「改革」という名の下に進行している事態は、数多くの弱者を切り捨てて、ひとにぎりの強者の手に富と権力を集中させる動きであろう。「負け組」「勝ち組」という言葉がはやったのは数年前だが、もはやはっきりと勝負はついてしまったというべきだろう。
この本は「負け組」の生き方を分析しているわけだが、いったんそちらに組み込まれると、もはや浮かび上がることができない、そういう社会に日本はなってしまったのではないか。とにかく、読んでいて暗澹たる気持になる本であった。
by himitosh
| 2005-11-10 22:09
| 本