2006年 01月 03日
「幸運は誰に?」 |
わたしの極私的意見だが、現代アメリカ最高の作家はカール・ハイアセンである。
ええ? そんな作家の名前聞いたことない?
論より証拠、一作だけでもいいから、だまされたと思って読んでみるといい。わたしが最初に読んだのは『ストリップ・ティーズ』だったが、それ以外にも『大魚の一撃』、『虚しき楽園』、『トード島の騒動』(いずれも扶桑社ミステリー)、『顔を返せ』、『珍獣動物園』(角川文庫)がある。どれもオススメである。
昨年末にハイアセンの『幸運は誰に?』(扶桑社ミステリー)が訳出され、年末から正月はこの本でたっぷり楽しむことができた。
ハイアセンはフロリダ在住の(新聞記者あがりの)作家である。そして彼の作品はすべてフロリダが舞台になっている。メキシコ湾に突き出した半島であるフロリダは、あらゆる人種やさまざまな文化が混交するとともに、アメリカ流の資本主義のえげつなさが半世紀以上にわたって浸透してきている土地である。そこから派生するさまざまな問題がハイアセンの作品のテーマとなる。
開発による自然破壊や、巨大テーマパークの偽善(彼は反ディズニー・ワールドの急先鋒である)とか、自然災害に対する政府の無策とか、時代を鋭くえぐる視線の持ち主が彼なのである。
といって、生真面目で正義感ぶった小説とは正反対の小説がハイアセンの作品である。とにかく笑わせてくれる。抱腹絶倒と簡単にいうが、それが可能な小説はほんの数えるほどしかない。それがハイアセンの小説群である。
『幸運は誰に?』でハイアセンのすさまじい攻撃の対象となっているのは、一言で言って「ブッシュのアメリカ」である。ブッシュ政権を支えるアメリカ精神の源を根底から描き出すとともに、その無意味で滑稽な存在を完膚なきまでに叩いている。アメリカの根深くて強い保守反動派がどれほど妖しくいい加減な人々であるか。この小説ほど見事に描いている作品はないのではないか。
そして、これは犯罪小説というミステリの一ジャンルとしても一級品である。
なんと言っても次から次へと登場する人物の描き方が見事というしかない。そうした人々はすごくヘンなのだが、すごくリアルなのである。そして、まあ笑える笑える。
こういう作家を生み出すことだけで、アメリカという国を尊敬してしまうこともある。
ええ? そんな作家の名前聞いたことない?
論より証拠、一作だけでもいいから、だまされたと思って読んでみるといい。わたしが最初に読んだのは『ストリップ・ティーズ』だったが、それ以外にも『大魚の一撃』、『虚しき楽園』、『トード島の騒動』(いずれも扶桑社ミステリー)、『顔を返せ』、『珍獣動物園』(角川文庫)がある。どれもオススメである。
昨年末にハイアセンの『幸運は誰に?』(扶桑社ミステリー)が訳出され、年末から正月はこの本でたっぷり楽しむことができた。
ハイアセンはフロリダ在住の(新聞記者あがりの)作家である。そして彼の作品はすべてフロリダが舞台になっている。メキシコ湾に突き出した半島であるフロリダは、あらゆる人種やさまざまな文化が混交するとともに、アメリカ流の資本主義のえげつなさが半世紀以上にわたって浸透してきている土地である。そこから派生するさまざまな問題がハイアセンの作品のテーマとなる。
開発による自然破壊や、巨大テーマパークの偽善(彼は反ディズニー・ワールドの急先鋒である)とか、自然災害に対する政府の無策とか、時代を鋭くえぐる視線の持ち主が彼なのである。
といって、生真面目で正義感ぶった小説とは正反対の小説がハイアセンの作品である。とにかく笑わせてくれる。抱腹絶倒と簡単にいうが、それが可能な小説はほんの数えるほどしかない。それがハイアセンの小説群である。
『幸運は誰に?』でハイアセンのすさまじい攻撃の対象となっているのは、一言で言って「ブッシュのアメリカ」である。ブッシュ政権を支えるアメリカ精神の源を根底から描き出すとともに、その無意味で滑稽な存在を完膚なきまでに叩いている。アメリカの根深くて強い保守反動派がどれほど妖しくいい加減な人々であるか。この小説ほど見事に描いている作品はないのではないか。
そして、これは犯罪小説というミステリの一ジャンルとしても一級品である。
なんと言っても次から次へと登場する人物の描き方が見事というしかない。そうした人々はすごくヘンなのだが、すごくリアルなのである。そして、まあ笑える笑える。
こういう作家を生み出すことだけで、アメリカという国を尊敬してしまうこともある。
by himitosh
| 2006-01-03 19:20
| 本