2006年 02月 07日
秋篠宮妃懐妊 |
「君主の最大の仕事は後継者を持つことである」といわれるが、今回の秋篠宮妃懐妊のニュースの扱いの大きさにはげんなりしてしまう。TVニュースでもトップだし、新聞の号外まで出たそうだ。げんなりという気分と同時に「気の毒だな」という気持になる。皇太子妃の出産のときにも同じことを感じた。なにしろ生まれたとたんに「次の子は~」といった発言ばかりが取り上げられていたのだから。
当然のことながら王の血統を男系のみで継承していくことは、歴史的に見てまず不可能である。男系の原則に固執していく限り、必ず断絶という事態が起こる。それに対応するために、諸王朝はさまざまな方策を考えた。
ひとつは側室を設けること。天皇家も明治・大正までは側室制度を置いていた。幅広くタネを蒔けば、男の子が生まれる確率は高くなる。ただ、これにも問題はあって、君主の血統を引く子どもがやたらと増えてしまい、後継者争いが起こることがある。
また、現在の不妊治療を見てもわかるように、君主の側に問題があってどうしても子どもができない場合もある。(たとえば、1737年に断絶したトスカーナ大公国のメディチ家の場合がそれであり、最後のトスカーナ大公ガストーネは同性愛者で子どもを持つことがなかった。)
もうひとつは、女系の君主を認めることである。実際のところ、一夫一婦制を前提とする限り、男系しか認めないという現在の皇室典範は遅かれ早かれ天皇家の断絶をもたらすだろう。皇室の中には「側室制度を復活させろ」という主張をしている人もいるようだが、時代の変化をまったく理解していないアナクロな発言であろう。
それにしても、妊娠6週間でニュースが全国に伝わってしまう立場はやりきれないだろうと想像する。「あなたの身体にこの国の運命がかかっているのです」などということを口走る輩がきっといるだろう。おお、いやだ。ぞっとする。
君主というのはもはや存在自体がアナクロだとわたしはいつも考えている。日本の伝統とか文化とかを支えるものとしての皇室の役割を云々する言説があるが、そういうものをわたしはかなり嘘くさいと感じている。ましてや皇室外交などというものは現代の世界のなかではほとんど無意味ではないか。日本の君主が持つ意味を考え直す機会になったという点では、今回の懐妊騒ぎは意味があるとは思う。
当然のことながら王の血統を男系のみで継承していくことは、歴史的に見てまず不可能である。男系の原則に固執していく限り、必ず断絶という事態が起こる。それに対応するために、諸王朝はさまざまな方策を考えた。
ひとつは側室を設けること。天皇家も明治・大正までは側室制度を置いていた。幅広くタネを蒔けば、男の子が生まれる確率は高くなる。ただ、これにも問題はあって、君主の血統を引く子どもがやたらと増えてしまい、後継者争いが起こることがある。
また、現在の不妊治療を見てもわかるように、君主の側に問題があってどうしても子どもができない場合もある。(たとえば、1737年に断絶したトスカーナ大公国のメディチ家の場合がそれであり、最後のトスカーナ大公ガストーネは同性愛者で子どもを持つことがなかった。)
もうひとつは、女系の君主を認めることである。実際のところ、一夫一婦制を前提とする限り、男系しか認めないという現在の皇室典範は遅かれ早かれ天皇家の断絶をもたらすだろう。皇室の中には「側室制度を復活させろ」という主張をしている人もいるようだが、時代の変化をまったく理解していないアナクロな発言であろう。
それにしても、妊娠6週間でニュースが全国に伝わってしまう立場はやりきれないだろうと想像する。「あなたの身体にこの国の運命がかかっているのです」などということを口走る輩がきっといるだろう。おお、いやだ。ぞっとする。
君主というのはもはや存在自体がアナクロだとわたしはいつも考えている。日本の伝統とか文化とかを支えるものとしての皇室の役割を云々する言説があるが、そういうものをわたしはかなり嘘くさいと感じている。ましてや皇室外交などというものは現代の世界のなかではほとんど無意味ではないか。日本の君主が持つ意味を考え直す機会になったという点では、今回の懐妊騒ぎは意味があるとは思う。
by himitosh
| 2006-02-07 20:13
| 社会