『緑の家』

マリオ・バルガス・リョサ『緑の家』読了。2010年に岩波文庫で出たときに買ってあったものをやっと読み終えた。自宅の本も片端から電子化してHDDに保存したが、それを最近になって読んでいる。本を買ったときにはたしかに関心があったのだが、忙しくて読めなかったものが多い。ようやく時間に余裕ができて、読めるようになったのだ。

『緑の家』はすごく面白かった。時系列も語り手も異なる五つほどの物語が複雑に絡まり合って語られており、最初は何のことかまったくわからずとまどったが、登場人物の特定ができるようになると、物語の世界全体が浮き上がってくる。こういう小説もあるのだ。

ラテン・アメリカ文学はボルヘスやガルシア・マルケスなどを一時期よく読んだのだが、その後ずっと縁がなかった。またいろいろな作家の作品を読んでみよう。HDDに保存してあるものもたくさんある。

そうした自炊本を読むのに最強のガジェットがこのSONYのデジタルペーパーDPT-RP1である。13.3インチもあるので、iPad Proの12.9インチよりも大きい。これで文庫本を読むと、サイズがほぼ四倍になって、字が大きくなる。老眼の進んだわたしには実にありがたい。しかもこれは液晶ではなくe-inkという表示技術を使っていて、普通の本の活字と同じぐらい目に優しい。要するに疲れないのである。もともとは原稿のチェックのために紙で印刷するのが面倒になって買ったものだが、自炊した本を読むのにiPad以上に役に立つことがわかった。

そういうわけで、実のところわたしのPCのHDDのなかには未読の本が死ぬまでに読めないぐらいたまっているのである。