2006年 07月 31日
「夜よ、こんにちは」 |
久しぶりに(比較的)新しいイタリア映画が松本の映画館で上映される。それがこの「夜よ、こんにちは」(マルコ・ベッロッキオ監督)である。
「夜よ、こんにちは」というタイトルは奇妙に感じられるかもしれないが、"Buongiorno, Notte"という原タイトルをそのまま訳したものなのだ。もちろんこの「夜」がひとつの比喩であることは言うまでもない。
どうやらこの映画は赤い旅団Brigate Rosseによる1978年のアルド・モーロ元首相の拉致・殺害事件がテーマのようである。したがってここでの「夜」はそうしたテロリズムの横行する時代そのものを指しているのだと思われる。
実はわたしが二年半のイタリア留学を終えてローマを離れたのが1978年3月16日、まさにモーロ事件が発生した当日であった。そして、モーロの遺体を乗せた車が発見されたのが、当時のイタリア共産党本部のすぐ裏手にあたるカエターニ通りで、わたしはここにある近現代史研究所の図書館にいつも通っていたのだ。そういうわけでモーロ事件に対するわたしの関心はかなり強い。
70年代は別名「鉛の時代」と言われている。それは60年代末の若者の反乱がうやむやのうちに抑え込まれ、そのあとに組織的テロリズムが猖獗を極めたからである。日本では連合赤軍のような革命運動の自己解体へつながっていったが、ヨーロッパでは赤い旅団やバーダー・マインホフ・グループのような正真正銘のテロ団体が活発に動き続けていた。ちょうどそういう時代にわたしは留学生活を送っていたのだ。
あの頃のイタリアでの若者のデモにはきな臭い雰囲気が漂っていて、しょっちゅうピストルが発射されたり、負傷者や死者が出ていた。テロの対象となる人々もさまざまで、政府高官や企業人は言うに及ばず、ジャーナリストまで襲撃されていた。
そういう時代を描いたイタリア映画としては去年公開された「輝ける青春」(マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督)があるが、今度のベッロッキオ監督の作品もおもしろそうだ。ベッロッキオは1960年代から映画を作っているベテラン監督で、政治的な内容の映画を多く作っている。映画としてもおもしろい作品が多い。
8月30日(水)の夜にエンギザで一回だけの上映ということになる。これは必ずやおもしろく見られるはずの作品なので、当日松本におられるかたがたはぜひご覧になるように。
<追記>
え~っと、上映主体はエンギザではなくてCINEMAセレクトです。生協などで前売り券を売っているので、それを購入されることをオススメします。
「夜よ、こんにちは」というタイトルは奇妙に感じられるかもしれないが、"Buongiorno, Notte"という原タイトルをそのまま訳したものなのだ。もちろんこの「夜」がひとつの比喩であることは言うまでもない。
どうやらこの映画は赤い旅団Brigate Rosseによる1978年のアルド・モーロ元首相の拉致・殺害事件がテーマのようである。したがってここでの「夜」はそうしたテロリズムの横行する時代そのものを指しているのだと思われる。
実はわたしが二年半のイタリア留学を終えてローマを離れたのが1978年3月16日、まさにモーロ事件が発生した当日であった。そして、モーロの遺体を乗せた車が発見されたのが、当時のイタリア共産党本部のすぐ裏手にあたるカエターニ通りで、わたしはここにある近現代史研究所の図書館にいつも通っていたのだ。そういうわけでモーロ事件に対するわたしの関心はかなり強い。
70年代は別名「鉛の時代」と言われている。それは60年代末の若者の反乱がうやむやのうちに抑え込まれ、そのあとに組織的テロリズムが猖獗を極めたからである。日本では連合赤軍のような革命運動の自己解体へつながっていったが、ヨーロッパでは赤い旅団やバーダー・マインホフ・グループのような正真正銘のテロ団体が活発に動き続けていた。ちょうどそういう時代にわたしは留学生活を送っていたのだ。
あの頃のイタリアでの若者のデモにはきな臭い雰囲気が漂っていて、しょっちゅうピストルが発射されたり、負傷者や死者が出ていた。テロの対象となる人々もさまざまで、政府高官や企業人は言うに及ばず、ジャーナリストまで襲撃されていた。
そういう時代を描いたイタリア映画としては去年公開された「輝ける青春」(マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督)があるが、今度のベッロッキオ監督の作品もおもしろそうだ。ベッロッキオは1960年代から映画を作っているベテラン監督で、政治的な内容の映画を多く作っている。映画としてもおもしろい作品が多い。
8月30日(水)の夜にエンギザで一回だけの上映ということになる。これは必ずやおもしろく見られるはずの作品なので、当日松本におられるかたがたはぜひご覧になるように。
<追記>
え~っと、上映主体はエンギザではなくてCINEMAセレクトです。生協などで前売り券を売っているので、それを購入されることをオススメします。
by himitosh
| 2006-07-31 21:27
| 映画