2007年 03月 06日
「安全なたばこというものはありません」 |
フィリップ・モリス・ジャパン社は去年の11月から日本国内で販売される自社の製品36銘柄(マールボロ、ラーク等)すべてに上の写真のような小冊子を添付している。パッケージの裏面、フィルムの内側についている。
小冊子のメッセージは5種類あるということだが、すべて最後に次のような警告文が含まれている。
安全なたばこというものはありません。喫煙による健康への影響に不安のある方には、禁煙することをお勧めします。左の写真はまた別の種類のフィリップ・モリス社の製品に添付されているメッセージだが、こちらはもっと詳しく喫煙の害を説明している。
なぜ、このようなメッセージを付すのか。それはおそらくタバコをめぐる訴訟に対して自社の立場を守るためであろう。
つまり、「これだけ害があると警告しているのに、タバコを吸い続けて病気になったとしても、それは喫煙者の自己責任である。したがって、損害賠償を請求する訴訟を起こしても、それには応じられない」というわけである。
アメリカでのタバコをめぐる訴訟で巨額の賠償金支払いを命じられることが多かったことが理由であろう。日本でのタバコ訴訟ではいまだにタバコ会社が負けた例はないが、この先もずっと同じ状態が続くという保証はない。であれば、念には念を入れて、企業の利益を守りたいと考えたと推定される。
フィリップ・モリス・ジャパン社は以前にも紹介したが、自社のHPでもタバコの害について次のようにはっきりと述べている。
喫煙には依存性があります。 禁煙はとても難しいことかもしれませんが、このために禁煙をあきらめるべきではないでしょう。それにしても、こういう商品を「嗜好品」として製造販売する会社も、それを購入して吸煙する消費者も、商品としての流通を認める政府も、どこかおかしいように思う。
喫煙は喫煙者に肺がん、心臓病、肺気腫、その他重大な疾病を引き起こします。 喫煙者が肺がんなどの疾病にかかる割合は、非喫煙者に比べるとはるかに高くなります。 「安全な」紙巻たばこというものはありません。
実際のところタバコを一挙に非合法化してしまうことは難しい。これは台湾が日本の植民地となったときに、アヘン根絶をめざした台湾総督府民政長官後藤新平の方法が参考になる。
台湾が植民地となった当時、中国本土と同様にアヘンの吸引が民衆の間に広まっており、大きな社会問題になっていた。後藤はアヘンの性急な禁止には反対し、アヘンに高率の税をかけて購入しにくくし、アヘンの吸引を免許制にした。それと同時に、アヘンの害を子どもたちに教育することにも力を注いだ。
その結果、アヘン吸引の免許制度が導入された1900年には16万9千人(当時の台湾の人口の6%)いたアヘン中毒者は、1917年には6万2千人となり、1928年には2万6千人となった。そして、1945年にはアヘン吸引免許発行を全面的に停止し、アヘン中毒者絶滅宣言が出されるにいたった。ほぼ50年かかったわけだが、台湾におけるアヘンの吸引はこうして根絶されたのである。
これと似たような方法がタバコについても採用されてしかるべきではないか。第一段階として、タバコにかけられる税金を大幅に引き上げ、第二にタバコ喫煙の免許制を採用する。もちろん未成年者には免許は与えられない。第三に子どもたちへの禁煙教育をしっかりと行う。そして、公共の場所での喫煙を禁止する。喫煙は(かつてのアヘン窟のように)人目につかない、限られた場所で免許を持った者のみに認められる行為とする。
このような段階を追って徐々にタバコを追放していくのが合理的な方法ではないか。
by himitosh
| 2007-03-06 16:46
| タバコ