2007年 11月 01日
「インベージョン」 |
ヒルシュビーゲルは「ヒトラー 最期の12日間」の監督である。その人がジャック・フィニィの『盗まれた街』を映画化した(これが四回目の映画化)ので、けっこう期待していた。フィニィの原作は高校生のときに読んでいる。
結論から言うと、まるっきり外れの作品だった。恐怖を感じるシーンがほとんどない。というか、脚本がマズイのではないか。異星人の侵略なら侵略ということをもっときちんと説明しないといけない。絵空事でも合理的な説明がないとリアリティがなくなる。脚本全体の整合性がない。
フィニィの小説は意外に映画的ではないのかもしれない。それから、無理やり現代の話にする必要もなかったのではないか。原作は1950年代に書かれたもので、共産主義への恐怖が底流にある。家族であったり隣人であったりする見慣れた人物がいつの間にエイリアン(共産主義者)に入れ替わっている恐怖が一番の売り物だったのである。
今回の映画ではそれが宇宙から渡来したウィルスによるものとなっている。ウィルスに精神を乗っ取られた人々の描写にも納得がいかない点が多い。
唯一印象に残ったのはニコール・キッドマンの美人女優らしさである。最近は汚れ役というか、わざわざ汚くした役柄が多かったキッドマンが今回はいかにも美人女優という感じで登場する。結局のところ映画を見てそれだけしか残っていない。
by himitosh
| 2007-11-01 19:41
| 映画