2008年 02月 18日
アメリカの大学と銃規制 |
ひとつは緊急情報を学生を含む大学関係者に流すシステムを作ることだ。これにはヴァージニア工科大学事件で犯人が最初に学生寮で2人殺したあとすぐに情報を流すことができず、大教室での大量殺人を招いたことへの反省がある。携帯電話やPCへメール・ボイスメッセージを一斉に伝える仕組みが導入された大学がある。
ふたつ目は大学内警察の武装と特殊訓練である。特殊な訓練を受けたセキュリティ・チームを作るという。そしてこれまでは武器を携行していなかった警備担当者に銃を持たせるという。たとえば、学生数4100人のブランダイス大学には20人の警備担当者がいるが、その全員が常時武器を持つようになる。
信州大学は学生数1万2千人だから、同じ割合なら60人の武装警官がキャンパス内をパトロールすることになる。こうやって比較してみれば、いかにアメリカの大学と社会が異常であるかがよくわかるだろう。
USA Todayによれば、12の州立大学が学生に対して武器の携行を許可したそうだ。銃を持っている者が多くなれば、大量殺人は防げるという考えからである。全米ライフル協会の思惑通りにことは運んでいるように思う。
いまは大統領候補を選ぶプロセスが進行しているところだが、候補たちはどう考えているのか。それが悲しいことに、銃規制に対して及び腰の姿勢がはっきりしている。
米民主党の大統領候補指名争いをしているオバマ上院議員とクリントン上院議員は16日、ミルウォーキー市内での同党ウィスコンシン州委員会主催の夕食会で演説したが、隣のイリノイ州で起きた銃撃事件を受けた銃規制の強化には触れなかった。個人の銃による武装を認めている合衆国憲法修正第2条は、わたしに言わせれば数世紀も昔のアナクロニズムもいいところの条文である。しかもそれは植民地・開拓地で身を守るための必要悪として設定した条文である。それを後生大事に守り抜く間に、これからも数知れない犠牲者たちが生まれるだろう。
2人とも銃所持の権利を支持する有権者が多いウィスコンシン州や来月4日のテキサス、オハイオ両州で行われる予備選だけでなく、11月の本選挙を見据え、銃規制に反対する有力団体の全米ライフル協会(NRA)の攻撃にさらされるのは避けたいとの思惑もありそうだ。
クリントン氏は16日のウィスコンシン州内での遊説で、銃撃事件について聞かれた際、「信じないかもしれないけど、私は狩猟に行ったことがある」と答えた。そのうえで同氏は、犯罪者らが銃を所持できないような措置をとる必要性を指摘しつつ、合法的に銃を所持する権利は侵すべきではないと強調した。
一方、オバマ氏も北イリノイ大学構内で起きた銃撃によって、学生ら5人が死亡したことに哀悼の意を示し、銃規制の整備の必要性を訴えつつも、合衆国憲法修正第2条は個人の銃保有の権利を認めていると述べた。
2人はもともと銃規制には積極的だった。オバマ氏は著書で、米国の指導者は銃器製造業ロビーの圧力をはねのけ、大都市の中心部から銃を締め出すようにしなくてはならないと記している。クリントン氏も新規に販売されるすべての拳銃(けんじゅう)に登録を義務づける制度の導入に賛成している。(産経新聞2月17日17時5分)
どう考えてもアメリカの社会は狂っている。
by himitosh
| 2008-02-18 08:11
| 社会