2008年 03月 27日
苺 |
そう、わたしの苺のイメージはそういうものなのだ。最近よく見かける大粒の苺は、見た目は美しいし味も悪くないが、わたしの苺ではない。
ベビーブーマーのわたしたちが子どもだった頃、苺は極端に限られた時期にしか食べられない果物だった。4月から5月ぐらいだろうか、八百屋の店先に並んだかと思うと、すぐに姿を消してしまう。だから、苺はすごく貴重な果物だったように思う。
深沢七郎が『風流夢譚』の筆禍事件で日本中を逃げ回ったときに書いたエッセイがあって、そこに北海道の苺の話がある。せいぜい2週間ぐらいしかない北海道の苺がどれほど美味いかを書いている。
あれは苺が露地栽培だったからだろう。いまのようにハウス栽培になって一年中苺があるようになると、苺はそういう特別な果物ではなくなってしまった。味のほうも何だか鮮烈なものがなくなってしまった。
もう7年前になるが、ナポリで半年過ごしたとき、よく苺を買って食した。イタリアではあまりハウス栽培は見かけない。苺も市場に出回っている期間がほんとうに短い。黒い薄いプラスチックのケースに入った苺を秤で量って、100グラムいくらという値段を払う。最低でも500グラムである。ひとり暮らしだったから、500グラムの苺はけっこう食べでがあった。
わたしが好きな苺の食べ方は苺ミルクである。スプーンの裏で苺をつぶし、ミルクをかけて食べる。苺が十分甘ければそのままでいいが、甘さが不足している場合には砂糖を加える。
子どもっぽい食べ方かもしれないが、これがわたしの苺のイメージなのである。
で、昨日の苺だが、色は十分赤くて美味しそうだったが、味のほうはいまひとつだった。やっぱりちょっと苺には季節が早いのだろう。
by himitosh
| 2008-03-27 09:06
| 身のまわり