2009年 05月 17日
『青年ヒトラー』 |
大澤武男『青年ヒトラー』(平凡社新書)読了。ヒトラーの伝記は、ヨアヒム・フェストのそれを含めて、もうすでにかなりの数があり、この本はそういう意味では彼の少年時代から政治活動に身を投じるまでの期間を取り上げることで新味を出そうとしている。ただし、記述のほとんどは他の本ですでに扱われており、ある程度ナチズムについて知っている人には新しい知見はほとんどないと言ってもよかろう。
しかし、やはり新書という形でヒトラーの青年時代を語るのは、それなりに大きな意味があるように思う。つまり、この本を読んでもどうしてヒトラーがヒトラーになったかということは見えてこないのである。おそらく20世紀で最大の影響力を行使した人物であるヒトラーの人格がどのような経過を経て出来上がったかがわからない。
ただ、この本に限らず、ヒトラーの青年期を扱った本を読んで感じるのは、とても不幸な青春時代を送っていることである。達成感や満足感、他者に愛された感覚を持たずに過ごす若者時代が主観的にも客観的にもどれほどつらいものであるか。
これはナチズムやファシズムの運動に欠如している「笑い」やユーモア感覚の原因でもあろう。自らを対象化できる者だけが「笑い」という健全なバランス感覚を持ちうるのである。
ヒトラーの青年時代にはそうした喜びが乏しすぎたことは確実に言えるのではないか。
しかし、やはり新書という形でヒトラーの青年時代を語るのは、それなりに大きな意味があるように思う。つまり、この本を読んでもどうしてヒトラーがヒトラーになったかということは見えてこないのである。おそらく20世紀で最大の影響力を行使した人物であるヒトラーの人格がどのような経過を経て出来上がったかがわからない。
ただ、この本に限らず、ヒトラーの青年期を扱った本を読んで感じるのは、とても不幸な青春時代を送っていることである。達成感や満足感、他者に愛された感覚を持たずに過ごす若者時代が主観的にも客観的にもどれほどつらいものであるか。
これはナチズムやファシズムの運動に欠如している「笑い」やユーモア感覚の原因でもあろう。自らを対象化できる者だけが「笑い」という健全なバランス感覚を持ちうるのである。
ヒトラーの青年時代にはそうした喜びが乏しすぎたことは確実に言えるのではないか。
by himitosh
| 2009-05-17 19:31
| 本